理事長ブログ ファミマ子ども食堂について
- 2019/02/03
- 12:39
全国のファミリーマート(約2000店)で三月から子ども食堂を行うらしい。
ファミマさんの子ども食堂の概要を上げてみると
・ファミマの店舗スペースを活用する(イートインコーナーの利用?)
・近隣の子どもや保護者を対象に食事を楽しむ取組
・店舗近隣にお住いの子ども、及びその保護者
・小学生以上は保護者の同意があれば一人でも参加可能
・参加人数は約10名
・参加料金は小学生以下100円、保護者・中学生以上400円
・プログラム:オリエンテーション/「みんなとお食事」約40分
・体験イベント約20分
と言う事だ。
ヤフーニュースではこの記事で賛否両論のコメントが溢れかえっている。
ザッと目を通してみるとコメント数で反対3割・心配3割・賛成2割・その他2割程度な感じがする。
このコメント数に加え、コメントの賛成・反対(通称「良いね」「良くないね」)の共感の数を見てみると反対は5割を軽く超え、賛成は1割以下・・・。
そんな感じだ。
私は個人的にはファミマさんのような大企業が子ども食堂に興味を持ってくれることは素直に嬉しい。
こうして皆が「子ども食堂とは?」と言う事を考えてくれる機会を提供してくれたし、他の企業さんも子ども食堂の携わりを考えてくれる一つのきっかけになると思うからだ。
だがしかし、ファミマさんの今回の取り組みは素直に両手放しでは喜べないのもまた事実なのだ。
・「ファミマの子ども食堂の取り組みのゴールが見えない」
ゴールと言うか目的と言うか。
通常、色んな団体さんは子ども食堂の目的やゴールが見えている。
貧困対策なのか、地域交流なのか、子育て支援なのか、子ども達の居場所つくりなのか。
その団体さんの意思が見える。
だが、今回のファミマさんの子ども食堂にはその意思が見えない。
概要の中に「食事を楽しむ取組」とあるので、ファミマ店舗内で「子供や保護者が食事を楽しむ空間」を作ってくれる訳なのだが、果たしてファミマ店舗内でファミマの販売している食料品を「普通に食べる」だけで「食事を楽しむことが出来る」のだろうか?
そもそも「食事を楽しむ」とは?具体的に何をイメージしているのだろう。
食育と言う部分に踏み込むなら、申し訳ないがコンビニ弁当と食育はあまり相性の良い組み合わせには思えない。
勿論、「取り組み」とも書かれているので何らかのファミマ独自の取り組みを行ってくれるのだろう。
この辺りは実際に開催の様子を見ないと何とも言えないが、ファミマさん自ら上げたハードルは結構高いものだと思う。
第二にその「取り組み」を行う事はファミマで働く現場の人達の負担にならないか?
と言う事である。
ファミマはバリバリの営利企業である。
営利とはやっぱり「稼いでなんぼ」であり、フランチャイズオーナーさんもほとんどは「稼ぎたくて」ファミマオーナーになっている訳で。
そんな中で「利益に結びつかない」オペーレーションを押し付けられて上手く機能するのだろうか?
そんな心配が頭をよぎる。
勿論、営利企業が社会貢献をしてはいけない訳でなく、逆にバリバリ社会貢献して欲しいのだが、やはり営利企業として或いはファミマとしてしか出来ない形で現場の負担にならない形で社会貢献の選択肢がなかったのか気になる所だ。
例えばファミマオーナー会の様な物から子ども食堂を立ち上げて地域の子どもや保護者さんに「楽しい食事の場」を提供する。
例えば一部の食材、それを既に子ども食堂を行っている団体さんに寄付をする。
仕事の一環として自分の職場に子ども食堂を入れ込むことはなかなか難しいと思う。
「仕事ではない。企業の社会貢献の一環」と言う言い方も出来るが「営業中の店舗内で時給を払っているアルバイトさんに子ども食堂のオペーレーション」も行う事になるなら、それは既に仕事の範疇だ。
別に仕事として子ども食堂を行っても良いのだが、それなら仕事として「非常に高いクオリティ」を見せて欲しい。
そのクオリティで否定的な人達や不安に感じている人達を安心させて、賛同させてほしい。
そして現場が混乱しない様にして欲しい。
何故なら自分がオーナーなら大変すぎると感じるからだ。
自分なら先ずは営利企業としてオーナーやアルバイトさんの環境や売り上げを満足いくものにしてから「余力」でもって企業・フランチャイズ共々子ども食堂の世界に携わるのが順番として正しいのではないか?と思う。
そんな事が頭の中をグルグルと駆け巡る。
つまり
・ファミマが子ども食堂に携わるのは賛成。
・だが、ファミマの子ども食堂の姿勢や目標が今は見えない。
・現場への負担はないのか?
・子ども食堂に来る子ども達に周囲の説明不足で間違ったメッセージを店舗利用者に発信してしまわないか?
・事件や事故の発生を防ぐオペーレーションに不備はないか?
などなどの不安点が出てしまうので、多くの人が素直に賛成できないのだ。
特に子ども食堂は「子供を育てる親」の目線からすれば大変ありがたい取り組みであると同時に、子育てと言う「非常にデリケート」な部分を支える活動でもある。
不備や不安を抱えたまま、そのデリケートな部分に営利企業が入るには非常に危ないし、今回の騒動(あえて騒動と言わせて頂くが)に発展した経緯を見れば、ファミマさんがそのデリケートさを其処まで認識していなかったようにも思える。
埼玉県内でパイロット的にファミマ子ども食堂を行ったところ「好評」だったから、全国での活動に踏み切ったようだが、パイロット数か所からいきなり全国2000カ所以上は展開が速過ぎると感じる人も多い。
また、パイロットの際は子ども食堂を行っていた地元団体さんの協力もあったはずだ。
経験のある子ども食堂運営経験者の団体のサポートがあれば「数回」の子ども食堂は成功するだろう。
だが、全国展開すれば「子ども食堂の経験も意思もない」オーナーさんが協力者もなく子ども食堂を運営せねばならなくなる。
しかも通常業務を行いながらだ。
否定的な物言いをしたい訳ではないが、諸手を上げて賛成は今は出来ない。
実際の「ファミマ子ども食堂」の経過を見てみないと答えは出せない。
ただ、願わくば「子ども食堂に手を出して大ヤケド」みたいな事にならないで欲しい。
埼玉県の子ども食堂関係者さんや埼玉県の行政も携わっている今回のファミマ子ども食堂。
今までコツコツと子ども食堂の活動と実蹟を積み上げてきた団体さんの迷惑になったり、善意や好意をファミマブランドに利用すると言った「活動実績の横取り」の様な事にだけはならないで欲しいと、今は願っている。
私の考え過ぎの杞憂だったら良いのにな。
と、考えています。
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